幼児教室で子どもたちと関わってきて、はっきりとわかったことがあります。
それは、幼児教育では「多角的な学び」と同じくらい、「あえて絞ること」も大切だということです。

幼児教育の世界では、よく「5領域」という言葉が使われます。
文部科学省の幼稚園教育要領でも、幼児期の学びは「健康・人間関係・環境・言葉・表現」の5つの領域から総合的に育てていくことが示されています。
子どもが主体となって、多様な経験を通して育っていくことは、とても大切な視点です。

ただ、その一方で、忘れてはいけないことがあります。
それは、「将来どんな力につなげたいのか」を見通したうえで、あえて学びの焦点を絞ることです。

いろいろなことを幅広く経験するのは、一見すると「たくさんの知識が身についていてすごい」と感じられます。
けれども、「この経験が、将来のどんな力とつながっていくのか」という視点がないまま学びを増やし続けると、枝葉ばかりが広がって、一本一本の枝に十分な栄養が届かない…ということが起こり得ます。

植物でたとえるなら、芽が出て、葉が増え、枝もたくさん伸びているのに、肝心の「実」がなかなか大きく育たない状態です。
幼児期の学びも同じで、今の多角的な学びが、将来どんな実(力)になってほしいのかを見通しておくことが、とても重要だと感じています。

たとえば、ほしぞら幼児教室の「入学準備コース」では、あえて「言葉」「数」「かたち」といった分野に絞ってカリキュラムを組んでいます。
それは、小学校に入学したときに「国語」「算数」として学ぶ内容の土台になるからです。
幼児期の経験と、小学校以降の学びがつながるように設計することは、教育要領でも重視されている視点です。

分野を絞ることで、一人ひとりのつまずきを丁寧に見つけ、復習の時間をしっかり確保し、「わかった」「できた」という実感を積み重ねていくことができます。
この積み重ねは、将来の中学受験・高校受験・大学受験といった節目の学びにも、確かな土台としてつながっていきます。

お子さまの力を伸ばしたいと願うとき、「できるだけたくさんのことを経験させなきゃ」と思うお気持ちは、とてもよくわかります。
その一方で、あえて選択肢を減らしてみる・学びを絞ってみるという視点も、ぜひ一度考えてみていただけたらと思います。

今のこの経験が、将来のどんな力とつながっていくのか。
今子育てをしている“この瞬間”に必要なものは何か。
一緒に整理しながら、前へ進んでいきませんか。